ファイナンシャルプランニングアンドアナリシス

2015年10月13日

外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック 標準原価計算採用の目的と原価差異分析 ( Cost Variance Analysis ) の基本

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コラム|奥井秀彦の外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック
外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック

《 標準原価計算採用の目的と原価差異分析 ( Cost Variance Analysis ) の基本 》

国内に製造拠点を置く外資系企業のHQにとって、そこで作られる製品の製造原価は、”最も知りたい情報のひとつ ” です。今回はこの製造原価のレポーティングにおいて必ず発生する ”原価差異” (Cost Variance) の分析の基本と、前提となる標準原価計算採用の目的について話したいと思います。ただし簿記の勉強ではないので、ややこしい計算式や理論は専門書に任せるとして、ここではレポーティングのポイントにフォーカスします。

さて、そもそも標準原価計算を採用する目的とは何でしょう?

”実際原価計算” においては、前期末在庫に当期生産高を加え当期末在庫を差し引けば当期製造原価は把握できますが、標準原価計算においてはそう単純では無く、”事前” と ”事後” に様々なステップが要求されます。特に事後においては、”原価差異分析” という、大変面倒なプロセスが付いて回ります。

では何故この面倒な標準原価計算を企業は積極的に採用するのでしょう?

それには大きく2つの理由があると思います。1つ目の理由は ”実際原価が締まるまで待てない” ということです。

前述の通り実際原価計算は労務費及び経費と期末の棚卸量を把握するまでは計算できません。月次決算においては、特に外資系企業のレポーティングデッドラインは早く(DAY1やDAY2は当たり前)、いち早く当月の情報を掴むことが必要となります。だから実際原価を把握するために棚卸や労務費/経費のデータ入力が完了するのを待ってはいられないのです。

ところが標準原価を採用することで、売上と同時に売上原価を認識できますので、”仮”ではありますが、実際原価が締まる前にP&Lや在庫のレポーティングが可能となります。つまり ”待たなくても良い” のです。

2つ目の理由は、”標準原価” (Standard Cost) と言いつつ実際は、 ”目標原価” (Target Cost) の意味合いが含まれているということです。この目標原価と実績を比較した差額を分析することにより、原価低減や品質向上のための対策を明らかにするという目的があります。

ここで明らかになった対策は、多くの製造会社にとって最も重要なタスクの一つともなり得ますので、原価差異分析は慎重かつ正確に行う必要があります。

標準原価は、統計データを元に、ベースとなる製品1単位(1個、1kg、1リッターなど)をその品目ごと(或いは品目カテゴリーごと)、そして基礎となる ”材料費” ”労務費” ”経費”の別に設定します。

例えば単純な例を挙げれば、Aという製品に対し、材料費として70円、労務費として20円、経費として10円、合計100円/個という標準原価を設定したと仮定します。もちろん材料費70円の背景には材料品目ごとの数量と価格のデータ(BOMやレシピ)が存在しますし、労務費や経費にも予算や実績をベースに1単位あたりの割振り額を計算した結果の数値が考慮されています。

そしてこの100円の標準原価に各部門での原価低減の目標値も考慮してしまいます。

材料費を例に取ると、『購入額増加に伴う購買部門のタスクとして、値引き交渉により(或いはサプライヤーの見直しにより)、原材料総額のx%の削減を設定する』であるとか『材料構成の見直しにより、エンジニアリング部門のタスクとして原材料総額のx%を〜』『製品歩留まりの改善により、製造部門のタスクとして製品製造原価のx%を〜』などという、各部門に課せられた業績目標を具体的に数値化して標準原価に盛り込んでしまうのです。

もちろん、材料費だけでは無く、労務費や経費においても、各部門に課せられた数値目標を標準原価にあらかじめ盛り込んでしまいます。

目標を標準原価に盛り込むことで、実際原価が出てきた時にこれと比較すれば目標を達成できたかどうかを確認することが可能となるのです。(例えば、材料費が80円という実績値が出て来たとします。標準原価は70円ですので10円のコストアップとなり、目標に達しなかったことが分かります)

ここまでが、”事前” のステップです。次年度の予算作成時には必ず行うでしょうし、会社によっては四半期や月次で標準原価の見直しを行うこともあります。

次に事後のステップ、つまり分析のステップについてです。

上述のように月次のレポーティング時には実際原価は算出できていないケースが殆どかと思いますので、原価差異は実際原価が入った後、つまりレポーティング後にP&Lに表れてきます。ここで差異分析を行い、その結果を関連部署とHQにレポートするという流れになります。

さて分析を行うにあたり、実際には原価差異はどのように会計データとして表れてくるのでしょう?

通常、P&Lには差異の ”総額” は出て来ますが、差異の ”詳細” は出てきません。詳細はあらゆるデータを駆使して分析することになりますが、一般的には以下のような視点で行います。

材料費… 価格差異と数量差異
労務費…賃率差異と工数差異
経費…操業度差異、予算差異と能率差異

全ての差異について例を挙げるとキリがないので、ここでは材料費を例にとってポイントを説明します。

材料費には価格差異と数量差異があります。

価格差異は標準原価として設定された単価と実際に消費した材料の単価の差異ですし、数量差異も同様に標準と実際の差です。

例えば、データを駆使した結果、A製品の当月の実際原価は130円であることまでは分かったとします。標準原価は100円ですので30円のアップです。そしてさらに分析すると、この差異の内26円は材料費から発生していることが分かりました。ここでこの材料費差異である26円を更に分解する必要が出て来ます。

材料費として設定した標準原価70円の内訳は、単価7円の ”材料a”が10個で構成されていたと仮定します。そして材料aの在庫受払表を調べたところ、払出し単価が8円と昨年から変更がありませんでした。つまり目標削減額の1円が未達ということを意味します。この1円の差異✖️標準原価に設定されている個数10個 = 10円が ”価格差異”となります。

そして更に調べると、消費した量が12個になっていました。これは標準原価の10個どころか昨年実績の11個よりも悪い数字でした。削減目標を達成できていないばかりでなく、却って悪化しています。この2個の差異✖️実際の価格8円 = 16円が数量差異となります。これで26円の材料費差異を価格差異の10円と数量差異の16円に分解できました。イメージとしてはこんな感じです。

図2


はい、ここまではちょっと学習すれば誰でもできることです。FP&Aのバリューは、『この差異を受けてどのような対策を講じるか』というところにあります。分析結果を誇らしげに詳細にレポートしただけでは何の意味もありません。次は必ず次のような質問がくるでしょう。

『あぁそうですか、それでその原因は?どんな対策を誰が講じるのですか?』と。

では何をしたら良いのでしょうか?
例えば数量差異の原因が不良率の増加による場合は製造部門に、あるいは想定されたBOMの改善が進んでいないことに起因する場合はエンジニアリング部門にコンタクトし、また、製造部門で何故不良が増えたのか、単純な仕損によるものであれば仕損を回避するための対策を、あるいは材料の品質不良によるものであれば、購買や品質管理部門にコンタクトし、受入れ検査のプロセスに問題が無かったかの確認をし、今後取れる対策を担当部門と話し合いをして見つけ出していきます。そして分析結果と共にこの対策をレポートし、さらにそれを後々トラッキングしていきます。原因と対策と責任者と期日が明らかになっていれば、必ず何かしらの効果は出てきます。

分析結果をレポートするだけではなく、ここまでやって初めてFP&Aとしてのバリューが出てくると言えるでしょう。

このように、原価差異は異なる視点から分析を行うことで、出てきた差異がどのような事象に起因するかが明確となります。また、時に一方ではロス、一方ではゲインが出しまえば、P&Lの原価差異は0に見えても実は隠れた差異が潜んでいることもあります。必ず多方面の視点から分析しましょう。また、分析した結果と共に改善策までレポートすることが重要となるでしょう。

ここまで標準原価計算を採用している製造業を例に取りましたが、建設業、機械製造、ソフトウエア開発などのプロジェクト型の原価計算を行う業界でも同様です。たとえ標準原価計算を採用していなくても、コストの見積もりはあるはずです。各項目別に見積もりと実績を進捗具合を考慮した上で比較し、差異が発生していれば原因を追究し‘’取れる対策’’ を出来るだけ早期に講じる。これもFP&Aのレスポンシビリティのひとつです。そしてその積み重ねが最終的に難解な製造原価のトランスペアレンシーを上げると共に原価低減にも繋がっていくことになるでしょう。

emplexfuruya at 22:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年09月30日

コラム|奥井秀彦の外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック 〜予算作成時の要件とポイント 〜その3〜  3歩進んで2歩下がる

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コラム|奥井秀彦の外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック 〜予算作成時の要件とポイント 〜その3〜  3歩進んで2歩下がる

《 予算作成時の要件とポイント 〜その3〜 3歩進んで2歩下がる 》

外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック

”その1” と”その2” ではBP作成の準備と全体のプロセスなどについて話しました
。”その3” ではその他の具体的な注意点と全体のまとめ方について話していき
たいと思います。

本題に入る前に、(前後しますが) そもそも『BP作成は何故必要なのか』につい
て少し話してみたいと思います。

よく耳にする言葉ですが、『どうせ絵に描いた餅でしょ?』とか『こんなの作
ったって、使う時は使うんだし、売れる時は売れるんだよ』など…

まぁそうなんですけどね。

でもどうでしょう? 使う時のキャッシュは誰が準備するでしょう?『明日、設
備投資のためのキャッシュが必要だからすぐに用意してくれ』と言われても手
持ちのキャッシュに限りもあるでしょう。特に外資系であればキャッシュは出
来るだけ手元(銀行)に置かないのが原則です。通常はキャッシュプーリングと
いうグループ企業間の資金集中口座を利用し、キャッシュが余ればその日のう
ちに借入の返済に回してしまいます (借入が無ければ自動的に貸し付けに回し
ます)。もちろん必要な時にそこから借りることができますが、だからと言って
『設備投資資金の為に明日10億円振込んでくれ』などということが通用するわ
けでもありません。

設備投資はマーケットリサーチなどの結果を元に投資効果の計算を行いその承
認を受けてから実行に移ります。当然、その際に発生する支出と将来のリター
ンについてもBPに反映させることになります。設備投資計画を進めるには様々
な部門で様々なタスクが発生します。

承認前段階でのマーケティングや事業開発、ファイナンス部門での投資効果の
算定に始まり、承認後には購買部門での設備や資材、原材料などの発注、人事
では人材の確保、プロジェクトメンバーの選出、営業部門では設備投資により
生まれる製品の営業活動、製品部門では試験運転や試作、延いては品質管理や
安全衛生、法務部門など、その他多くの部門がインボルブされる事になります


このように多くの部門が動き、それぞれの部門で設備投資に伴う部門としての
アクティビティーの計画が立てられ、実施に伴いお金も動くことになります。

当然、BPにはこれら全てのアクティビティーに伴う予算も盛り込まれることに
なります。

会社組織の中では ”計画” が無ければ誰も動けませんし動きません。ビジネスを
円滑に進めるには、進むべき方向が見えていないといけません。

上記は飽くまで例に過ぎませんが、ここからわかるように、BPを作成する最も
重要な目的は【全ての関連する部門で将来の会社のあり方をBPという共通の目
標を通じて確認する】ことにあります。そして【次年度以降のビジネスの方向
性を共有し、各部門においてこれに対する自らのタスクを明確にする】という
ことが求められるのです。

閑話休題、”その2” では ”BP作成は原則としてP&Lの上から下へ” という話をし
ましたが、そうは言っても素直に流れる訳ではありません。例えば営業部門か
ら上がってきた販売計画を元に製造部門に生産計画を依頼したところ、『リソ
ースが足りない』といわれることもあるでしょう。設備が足りなければ設備投
資を、人材が足りなければ採用をそのソリューションとして考えるかもしれま
せん。或いはリソースを追加するとキャッシュフローがネガティヴになるため
、既存のリソースで収まるように営業に計画の見直しを求めなければならない
かもしれません。カウンターで営業から製品ミックスの変更により元の計画で
行きたいと申し出があり、再度生産計画の見直しを余儀なくされるかもしれま
せん…

このようにBP作成はパズルのように、組み合わせがズレてしまえばやり直し、
うまくコマがハマるまで何度も繰り返します。全てのコマがピッタリと当ては
まればキレイな絵が出現します。そしてあなたにはひとつひとつのコマがハマ
るように行ったり来たりの調整が求められるでしょう。でもこの【行ったり来
たり】、つまり3歩進んで2歩下がるのプロセスが重要なんです。練り直しをす
ることで精度が上がるだけではなく、多くのチャンスやリスクも見えて来るは
ずです。

ところで、BPで要求されるデリバラブルは前述の数値データだけではありませ
ん。対前年比、対今期フォーキャスト(見直し予算)比などの増減説明や数値デ
ータに表れていないリスクやオポチュニティーなどのデータも要求されるでし
ょう。当然、これらプレゼン資料の作成や社内やHQへのプレゼンも必要とさ
れます。

さて少し話は戻りますが、BP確定までにあなたが行わなくてはならない重要な
点がもうひとつあります。それはボトムアップで出てきたデータの精度を見極
め、それをBPに盛り込むかどうかの判断をすることです。繰り返しになります
が、ボトムアップのプロセスにおいては、基本的にはデータは各担当部門から
出してもらうことになりますが、上がってきたデータをヒストリカルデータや
総合的な見地からロジカルに分析し、精度を上げていくことはコントローラー
やFP&Aに課されたタスクです。

ただ、中にはどうしてもロジカルに判断出来ないデータも存在します。例えば
現在客先と交渉中の案件があり、それが獲得出来るかどうかが分からない場合
や、開発案件のプロジェクトが本当に実現するかどうかが客観的に判断出来な
い場合などなど、それらをBPに盛り込んで良いかどうかの判断に迫られる場面
が何度も出てくると思います。

そのような時はまず担当責任者の ”クセ” や ”性格” を見ましょう。将来の見通
しについては極端に言えば【オプティミスティック】思考と【コンサーバティ
ブ】思考に分かれます。普段からデータのやり取りやディスカッションをして
いれば、その人がどちらのタイプなのかもある程度は分かるはずです。

ロジカルに判断出来ないデータはこのような ”クセ” や ”性格” を見極めた上で
盛り込むのかどうか、また、盛り込んだとしても ”リスク” として扱うか、盛り
込まなかったとしても ”オポチュニティー” として扱うかを考えましょう。泥臭
い話のようですがこれも実際には必要なプロセスのひとつです。

データが出来上がったら最後に法務、税務、パテント、カントリーリスク、引
当金の変動、為替、売上や標準原価に相場物が影響する場合はのそれらのリス
クなどについても再度レビューを行いましょう。特に為替レートはBPのキック
オフ時とドラフト作成段階で大きく変動しているかもしれません。

さて、試行錯誤の上ででき上がったBPのドラフト、次はこれをマネジメントや
HQへのプレゼンテーションするという、最も緊張するプロセスに入ります。
プレゼンテーションは、前提条件から始まり、数値データ、文章での説明、そ
して結論と簡潔且つ分かりやすく、必要であればグラフも用いて行いましょう
。また、あらゆる質問に備えてバックアップデータは手元に持っておきます。

決して細かいデータをフレゼン資料に出してはいけません。限られたプレゼン
時間に大量のデータを出しても言いたい事は伝わりません。ポイントを分かり
やすく、そして全体像が見えるようなプレゼンテーションを行いましょう。

よほど運が良くない限りBPの最初のドラフトがファイナルになる事は無いでし
ょうから、何度か練り直しをすることになります。例え何度リジェクトされて
も、ここでも ”3歩進んで2歩下がる” くらいのつもりで臨みましょう。そして承
認されるまで粘り強く取り組みましょう。最後の正念場ですから。

上場会社では、次年度と中長期の計画は開示情報として求められていますが、
これは投資家向けの内容であり、外資系のように(多くは)国内非上場の会社が
作るBPはこれとは異なります。マネジメントによっては、やや非現実的なスト
レッチしたターゲットをBPとして設定する場合もあるでしょう、或いはBPは
コンサバティブなものにして、ターゲットはターゲットとして別途持つ場合も
あるでしょう。開示データではないのでスタイルは様々です。企業の業種や規
模や組織形態などによって、プロセスもデリバラブルも注目するポイントも異
なるでしょう。でも共通することは【BPを通じて、マネジメントの意思に沿っ
た当面の事業目標を部門間で共有する】ということではないかと思います。

以上、コラムということで詳細な説明はできませんでしたが、コントローラ
ー、FP&A、管理会計などの担当の方々に多少なりともBP作成のヒントになれ
ば幸いです。

emplexfuruya at 20:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年09月28日

コラム|奥井秀彦の外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック 〜予算作成時の要件とポイント 〜その2〜 ボトムアップだけどトップダウン〜

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プロジェクト管理会計研究所 古谷です

コラム|奥井秀彦の外資系ファイナンス&コントローリング部門におけるFP&Aのテクニック 〜予算作成時の要件とポイント 〜その2〜 ボトムアップだけどトップダウン〜

《 予算作成時の要件とポイント 〜その2〜 ボトムアップだけどトップダウン 》

前回の ”その1” では、BP作成の準備段階での心がけと、コントローラーが先にゴール
の全体像を把握しておくことが、その後のプロセスにおいて有益であることなどを話し
ました。

さて、キックオフミーティングも終わり、担当責任者へのデータ依頼も完了しました。
あなたはここでデータが上がってくるのをボーっと待っていてはダメです。これから
が本番ですから。

データが出てくるまでに何をするか?極端に言えば【あなたがBPを作成する】のです。
コントローラーやFP&Aとしてそのビジネスに精通していればある程度の数字は作れる
はずです。

その際に ”その1” でも話した〔マネジメントや事業開発とのインタビュー〕の内容を
参考にして下さい。つまりBPのゴールがどのな形になっているべきか?を考えながら
作成するのです。

『そんなこと、イチイチやってられないよ』と思われるかもしれません。でも結果と
してその方が時間と労力の無駄使いを防げるはずです。
というのも、詳しくは後述しますがBPのプロセスは ”行ったり来たり”の繰り返しです。

データの確定に行き詰まった時にあなたは ”何れにしろ” データの分析をしなければな
りません。また、BPのデリバラブルは数値データだけとは限りません。数値データの分
析結果を文章で説明する必要も出てくるでしょう。そんな時に数値の変動要因を説明出
来ないようではHQの承認を容易に取り付けることも出来ません。

具体的に数値を入れれば疑問点や見えてくるものもあるはずです。見えてきたものをバ
ックデータとして備え担当責任者と面談を行えば数値の確定もスムーズに出来るでしょう。

また、これは外資系に限らず特に製造業全般に言えることですが、ファイナンス系と
人事系のコンタクトは、製造や営業部門からはとかく煙たがれるものです。煙たがら
れたままでもデータは出てくるでしょうが、

《より精度の高いデータ》を獲得するには、担当責任者とその業務内容を良く知るこ
とが第一です。間違ってもあなたから『BP作成の重要性だけを強調して』データを依
頼してはいけません。反感を買うだけです。

『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』です。普段から密にコミュニケーションを取っ
ておくだけでは無く、面談の際にはディスカッションに耐えられるだけの十分なデータ
を用意しておきましょう。

例えば製造部門であれば、過去数年間の月別の生産量、歩留まり率、工数(直接工)と
稼働率、設備稼働率、在庫レベルなどの数値データの推移だけではなく、カイゼン活動、
品質異常、設備投資や開発投資の進捗状況なども確認しておきます。

仮に前年比10%の生産量増加要求があったとして、製造の責任者から
『そんなぁ、今でもいっぱいいっぱいなんだから10%増なんて無理だよ』と言われても、
今の稼働率や将来の投資計画、歩留まりのカイゼン状況などを提示してディスカッショ
ンを進めることが出来ます。この時データが無ければあなたは『あ〜そうですか』と引
き下がるか、『ナントカお願いしますよ』と空っぽなネゴをするか、
『また出直してきます』となるかです。これではコントローラー或いはFP&Aとしてのバ
リューがありません。こうならないためにも十分なデータ(装備)を持ってディスカッシ
ョン(登山)に臨みましょう。

さて、今回のお題目の【ボトムアップだけどトップダウン】についてですが、2つ意味
があります。1つ目はボトムアッププロセスにおいては上述のように各部門からの数値
を元にデータを作り上げて行きますが、この数値を作りあげていく順番についてです。

(業種によってはそうならない場合もありますが)基本的にはP&Lの上から下の順に作ります。

まずはトップライン(売上や受注)、次に売上原価(生産量や購買量)、販売直接費、SG&A、
営業外、Tax関連の順番に進めます(その他随時設備投資、ヘッドカウント、ワーキング
キャピタルは並行して検討します) 。

トップラインが決まらなければ生産量も購買量も販売直接費も決められません。
いきなり製造部門に『来年の生産計画を出して下さい』と言っても『で、どれだけ売るの?
在庫レベルのターゲットは?』と逆に聞かれてしまいます。開発オリエンテッドの業種では
開発費から始める場合もありますが、基本は【数値の確定は先ずトップラインから、そして
P&Lの順番に上から下へ】です。

2つ目の意味は、いくらボトムアップとはいえトップ、つまりマネジメントの数値的な要求
はあるはずですのでそれを各部門(ダウン)に下ろしていくのもあなたの役割だということです。

マネジメントが10%の売上増を期待しているのに営業部門から出てきた数値が3%増だったら、
或いはマネジメントが原価率3%減を見込んでいるのに製造部門の計算数値は逆に悪化していた
ら… あなたは出来るだけマネジメントの要求に応えられるよう、ソリューションを提供しなけ
ればなりません。これこそコントローラーやFP&Aの重要なバリューのひとつです。

さて次回は、《 予算作成時の要件とポイント 〜その3〜 3歩進んで2歩下がる 》について話したいと思います。

emplexfuruya at 22:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年09月15日

外資系ファイナンスコントローラー 奥井秀彦さん

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外資系ファイナンスコントローラー 奥井秀彦さん

大学を卒業後、
音響機器メーカーでの経理実務経験を経て20年以上にわたり外資系製造会社
でのコントローラーに従事。
また国内上場ベンチャーの財務経理部長や企業監査役の経験もある。
携わった業種は、化学、非鉄金属、電気、自動車、機械、製薬など。

今後 本メディアで 外資系コントローラーやFP&A 
ファイナンシャルプランニングアンドアナリシスについて詳しく語っていただきます
お楽しみに・・・

emplexfuruya at 22:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
経歴
「プロジェクト管理会計研究所」
はじめまして 私は相鉄建設株式会社という建設業で経理財務を経験後、株式会社TYO(CM制作会社)の財務を経て、2002年2月へエンプレックス株式会社(ITサービス)へ取締役経営管理部長を担っておりました。なのでゼネコン〜CM制作会社〜ITベンチャーと業種は異色です。ソフトウェア業界や広告業界などは、建設業と比べ歴史が浅く会計処理をとっても、業務などが確立されておらずその会社のやり方により利益管理や業務処理も様々です。これら業界では、ひとつひとつの製品を「プロジェクト」と呼んでいます。今後、このブログにて​
プロジェクト管理会計の妄想 理想のプロジェクト管理会計・プロジェクト管理会計のノウハウや業界の悩み事・プロジェクトの利益算出・業務フロー・先読み経営などをテーマに、お悩みの方や今ひとつ答えがでないという経営者/経営管理CFOの方などへ少しでもヒントとなり役立てていただければ幸いです

プロジェクト型ビジネスに関わる方々へのサービス
1)制作・開発現場の採算意識向上
2)個別原価計算の会計処理効率アップ
3)業績予測管理の精度向上
4)販売・購買管理の内部統制強化
5)営業・現場・管理・経営層の情報共有

経歴:古谷 幸治(ふるや ゆきはる)

1967年生 神奈川県横浜市出身
関東学院大学経済学部経済学科卒。
相鉄建設(総合建設業)
ティー・ワイ・オー(CM映像制作業)などを経て
2002年2月エンプレックスに参画。取締役に就任。
「セミナー講演多数」

建設業の会計業務知識をベースに、
映像制作業やソフトウェア開発/SI業での
経営管理経験から「プロジェクト管理会計」の手法を自ら体系化。
BIG3の監査法人の指導を得て、自社開発でプロジェクト管理会計
システムをプロデュース「eMplex PBM」の機能に昇華。
コンサルティングした企業は200社を超える
そのプロジェクト管理会計手法は圧倒的な支持を得ている。

また新規事業の立ち上げ/クロスメディアマーケティング
/NEWビジネスにおける経営管理のあり方を体系化
​ERPCRMコンサルタント プロジェクト管理会計
精度の高い業績予想体制を確立するコンサルティングサービスを行っている

三児の父
人とのつながり
人とそこから広がるご縁を一番大事にしている

趣味/特技は
船釣り・バンド活動・映画鑑賞・写真・読書・パン作り・BMW・横浜ベイスターズ観戦・ラグビー観戦・キャンプ
・地元横浜めぐり・ボーリング・バーベキュー・自転車

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